初夏を思わせる汗ばむ陽気・・・
ガーデニングを急がなくては・・・。

枯草を取り除き、植木の枝を切りそろえる・・・。
木製のテラスを組み立てる。
ラチスのフェンスを衝てる・・・。

廻りにバラの苗木を植える・・・。

手造りの二人掛けの白いテーブルを置く・・・。
オーニングを取り付ける。

二人だけの、ほんの3帖程の小さなテラス。

やがて、咲き乱れるバラの花に埋もれる・・・。

「ムーンライトセレナーデ」の甘い唄声・・・。

６月の満月の夜、泰子が我が家に訪れる。

愛くるしいまなざし・・・
はにかむような笑顔・・・。

１０年も前に用意した「TIFFANY」の時計・・・
月灯りのもと、泰子に贈ろう・・・。

きらめく星たち・・・

そして泰子の小さな肩を抱き寄せる・・・
愛する人よ・・・。

隣家からなにやら、焼きソバの香り、
子供たちの歓声。

こら、お隣さん・・・
約束が違う・・・。
バーベキューは延期を頼んだはずなのに・・・

焼ソバのにおいの「TIFFANY」は贈れない・・・
バラの花の香りでなくては・・・。

泰子・・・悪いが雨の日に訪ずれてくれ・・・

隣家もさすがにバーベキューは出来ないだろう。

では。
 
 

TIFFANY

１０年前に泰子のために用意した時計。
泰子の腕に燦然と輝く日はいつになるだろう。

YASUKO

私の人生は泰子の為だけにある。
世の奥様方・・・夢の無い夫、
出来そこないの子供達に期待してはいけない。
幸福は自らの手で掴むしかない・・・。

ANITA

このところ「ANITA」の呪縛から解放された。
何事も恐れる事なく突き進む姿に感動する。
アニタは「TIFFANY」などに目もくれないだろう。

リフォーム部酒井でした。